『薬屋のひとりごと』の西都編(さいとへん)とは、玉葉后の故郷であり、かつて戌西州(じゅっせいしゅう)と呼ばれた西方の大都市を舞台に、蝗害(こうがい=イナゴ・バッタの大量発生)という天災と、玉一族のお家騒動が同時に襲いかかる、原作小説でもっとも重厚なシリーズです。猫猫と壬氏が西都へ赴く理由から、舞台となる戌西州の歴史、蝗害という巨大事件、新たに登場する人物までを、原作の情報に沿ってわかりやすく整理しました。
結論を先にお伝えすると、西都編は原作小説のおおむね9巻以降で本格化する物語で、アニメ第1期・第2期ではまだ「蝗害」そのものは描かれていません。この記事を読めば、アニメ第3期以降で描かれるであろう物語の全体像が、ネタバレを把握したうえでつかめます。
⚠️ ネタバレ注意:この記事は『薬屋のひとりごと』原作(小説・漫画)およびアニメの内容に踏み込みます。未読・未視聴の方はご注意ください。
『薬屋のひとりごと』で「西都編」って言葉をよく見るんだけど、これってどういうお話なの? 猫猫たちが西の都に旅行に行く話……?
旅行どころじゃないの。猫猫たちが向かう西都では、イナゴが大量発生して農作物を食べ尽くす「蝗害」という大災害が起きるんだよ。しかも玉葉后の実家・玉一族のドロドロしたお家騒動まで絡んでくる、シリーズ屈指の重たい展開なの。
えっ、後宮ミステリーだと思ってたのに、急にスケールが大きくなってる……! そもそも「戌西州」って何? 西都とは違うの?
そこが面白いところ。戌西州というのは、西都が昔呼ばれていた地名なの。その名前の由来になった一族が滅ぼされた、という暗い歴史が西都編の土台になっているんだよ。今日はそのあたりを一つずつ整理していくね。
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この記事でわかること

- 猫猫・壬氏たちが西都へ赴くことになった経緯
- 舞台となる「戌西州(西都)」とはどんな土地か・その暗い歴史
- 西都編最大の事件「蝗害(イナゴの大量発生)」とその対策
- 玉一族のお家騒動と、玉鶯(ぎょくおう)をめぐる悲劇
- 西都編で登場・再登場する重要人物たち
- アニメではどこまで描かれたか・第3期以降の見どころ
西都編とは?|後宮を飛び出して描かれる「災害と政争」の大型シリーズ

まず全体像から押さえましょう。『薬屋のひとりごと』は後宮を舞台にした毒と謎の物語として始まりますが、巻が進むにつれて舞台はぐっと広がっていきます。その到達点のひとつが西都編です。
西都編は、ヒロインの猫猫(マオマオ)と、皇弟である壬氏(ジンシ)の一行が、都から遠く離れた西方の大都市西都へ赴くところから始まります。そこで彼らを待ち受けるのが、蝗害という大規模な自然災害と、玉葉后の実家である玉一族のお家騒動という、二つの巨大な問題でした。
これまでの後宮ミステリーが「一つの建物の中で起きる小さな事件」を解いていく物語だったとすれば、西都編は「一つの州全体を巻き込む災害と政治の物語」へとスケールアップしています。猫猫の薬学・観察眼が、後宮の毒見からついに「飢饉対策」という国家規模の問題に向き合うことになる——この転換こそが西都編の醍醐味です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 舞台 | 西都(戌西州)── 茘(リー)の西方にある大都市 |
| 主な事件 | 蝗害(イナゴ・バッタの大量発生)/玉一族のお家騒動 |
| 中心人物 | 猫猫・壬氏・羅漢・羅半兄・玉鶯・陸孫・雀 ほか |
| 原作の位置 | 小説9巻あたりから本格化し、12巻で西都編が決着 |
| アニメ化 | 第2期終了時点(小説4巻まで)では未到達。第3期以降の範囲 |
※ 巻数の対応はあくまで目安です。原作小説と2種類の漫画版(コミカライズ)では描写の順序や省略に差があり、媒体によって「どこからが西都編か」の感じ方は多少異なります。本記事では原作小説の流れを基準に解説します。猫猫という人物像をあらためて知りたい方は猫猫の完全解説もあわせてどうぞ。
猫猫たちが西都へ赴く経緯|「玉鶯の招き」と壬氏の事情

そもそも、なぜ猫猫や壬氏といった都の中枢人物が、わざわざ遠い西都まで足を運ぶことになったのでしょうか。ここを理解すると西都編全体が見通しやすくなります。
玉葉后の故郷であり、茘で「一番重視すべき」西方の要衝
西都は、皇帝の正室である玉葉后(ぎょくようこう)の故郷です。玉葉后は後宮で四夫人のひとり「玉葉妃」として登場し、のちに皇后へと昇った人物。彼女の実家である玉一族が、この西都を治めています。玉葉后の人物像については玉葉妃の完全解説で詳しくまとめています。
西都は単なる地方都市ではありません。茘(物語の舞台となる帝国)にとって西方の交易や国防を担う極めて重要な土地であり、国全体から見ても重視すべき要衝とされています。それゆえ、ここで何か問題が起きれば、国家の安定にも直結するわけです。
「皇弟・壬氏」が西方へ派遣される
壬氏は、表向きは皇帝の弟、すなわち皇弟という極めて高い身分の人物です(彼の出生の秘密については別記事に譲ります)。その壬氏が、都を離れて西都へ赴くことになります。原作で語られる流れによれば、玉一族側からの招き(玉鶯による呼び寄せ)が、一行が西都へ向かう一つのきっかけになっています。
壬氏一行とともに、変人軍師として知られる羅漢(らかん)も西方へ関わっていきます。羅漢は猫猫の実の父にあたる人物で、彼の存在も西都編に独特の緊張感をもたらします。羅漢の正体や猫猫との関係は羅漢の完全解説をご覧ください。
玉葉后のおうちが治めてる土地に、皇弟の壬氏様がわざわざ行くんだね。なんだか政治的にもデリケートそう……。
まさにそこなの。中央(都)と西都の力関係、玉一族の思惑、そこに災害まで重なる。「権力」と「天災」が同時に動くのが西都編なんだよ。猫猫はその渦中に薬師として放り込まれちゃうわけ。
舞台「戌西州」とは?|西都の旧名に隠された滅ぼされた一族の歴史

西都編を語るうえで欠かせないのが、「戌西州(じゅっせいしゅう)」という地名です。これは現在「西都」と呼ばれている地域の、かつての名前にあたります。
「戌の一族」が治めていた土地だった
原作で語られる歴史によれば、この地はもともと「戌(いぬ)の一族」と呼ばれる一族が治めていた土地で、その名にちなんで「戌西州」と呼ばれていました。ところが、その戌の一族は、本編からおよそ十数年前(十七年前と語られる場面があります)に中央への讒言(密告)と、それを受けた勅命によって族滅(一族まるごと粛清)させられてしまったとされています。形式上の権威は女帝(先代の皇太后)側にありましたが、この讒言を主導したのが玉袁の長男・玉鶯であったことが、のちに明らかになっていきます。
戌の一族の後に台頭した「玉袁」
戌の一族が滅ぼされたあと、その土地で頭角を現したのが玉袁(ぎょくえん)という人物でした。玉袁はもともと西方の役人だったとされ、戌の一族なき後の西都をまとめあげて支配者にのし上がります。そして、この玉袁の娘こそが、のちに皇帝の寵愛を受ける玉葉后なのです。
つまり整理すると、次のような歴史の流れになります。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| かつて | 「戌の一族」が西方を治め、土地は「戌西州」と呼ばれていた |
| 本編の約十数年前 | 中央への讒言と勅命により戌の一族が族滅させられる(後に玉鶯の関与が判明) |
| その後 | 役人だった玉袁が台頭し、西都の長(実質的支配者)となる |
| 本編の時代 | 玉袁の娘・玉葉后が皇后に。玉一族が西都を治める |
この「滅ぼされた戌の一族」という暗い歴史は、西都編で起きる事件の伏線として効いてきます。戌の一族にまつわる過去の隠蔽(鉱山などの記録の消失)が物語に絡んでくるためです。なお、これらの歴史描写は原作・コミカライズで断片的に明かされていくもので、細部には諸説ある部分もあります。物語全体の人物関係を俯瞰したい方は薬屋のひとりごと 完全ガイドを参照すると整理しやすいでしょう。
西都編最大の事件「蝗害」|イナゴが農作物を食べ尽くす大災害

ここからが西都編の核心です。一行が西都に滞在するなか、この地を蝗害(こうがい)という天災が襲います。
そもそも「蝗害」とは何か
蝗害とは、バッタ・イナゴの一種が爆発的に大量発生し、農作物を中心にあらゆる植物を食い尽くしてしまう自然災害のことです。現実の世界でも、サバクトビバッタなどが引き起こす蝗害は深刻な食糧危機の原因として知られています。
バッタには、ふだん単独で暮らす「孤独相(こどくそう)」と、個体数が増えすぎたときに姿や習性まで変化して群れをなす「群生相(ぐんせいそう)」という二つの状態があります。群生相になったバッタは大群となって移動し、通り道の作物を根こそぎ食べ尽くす「飛蝗(ひこう)」と呼ばれる現象を起こします。『薬屋のひとりごと』の蝗害描写は、こうした現実のバッタの生態(相変異)を踏まえた、かなり本格的なものになっている点が高く評価されています。
作中で描かれる蝗害の恐ろしさ
・大量のバッタが飛来し、作物だけでなく衣服や住居にまで被害が及ぶほどの規模
・農作物が壊滅すれば、その先に待っているのは飢饉(食糧不足)
・西都や国境付近では食糧の奪い合いや暴動が頻発し、社会そのものが揺らぐ
過去の蝗害を「知る者が少ない」という恐怖
作中で強調されるのは、この規模の蝗害を経験的に知っている人間がほとんどいないという点です。蝗害は何十年に一度といった頻度でしか起きないため、いざ大発生したときには対応を知る者がおらず、人々はただ混乱するばかり。そこに猫猫たちの「知識」が決定的な意味を持つことになります。
飢饉から戦争へ──最悪のシナリオ
蝗害がもたらす本当の恐怖は、バッタそのものよりもその後にやってくる飢饉と社会不安です。作物が失われれば食糧が枯渇し、人々は飢えます。原作では、悪化した状況を打開するために隣国との開戦すら検討されるという、極めて緊迫した展開へと進みます。一つの天災が、政治・外交・人心のすべてを揺るがしていく——西都編はそのドミノ倒しのような連鎖を丁寧に描いていきます。
バッタが大発生しただけで、戦争まで起きそうになるの……? スケールが大きすぎて怖い。
「食べ物がなくなる」って、人間にとっていちばん根源的な恐怖だからね。だからこそ、猫猫たちが必死で蝗害対策に走るシーンには、後宮編とはまったく違う緊張感があるの。
蝗害にどう立ち向かったか|羅半兄の「秋がえし」と芋作戦

では、対応を知る者が少ないこの大災害に、猫猫たちはどう立ち向かったのでしょうか。ここで大活躍するのが、意外な人物——羅半兄(ラハンあに)です。
「秋がえし」で卵を掘り起こして潰す
蝗害対策として作中で重視されたのが、「秋がえし(あきがえし)」と呼ばれる農作業です。これは秋に土を深く掘り返す作業で、その目的は地中に産み付けられたバッタ(飛蝗)の卵を掘り起こし、死滅させることにあります。卵のうちに数を減らしておけば、翌年の大発生を抑えられるという発想です。
原作では、わずか限られた期間(おおむね二か月以内)で戌西州の農村地区を回り、各地に秋がえしを教えていく、という過酷な任務が課されます。広大な土地を相手に、時間との戦いで対策を浸透させていく——その実働を担ったのが羅半兄でした。
「土の中で育つ作物」へ切り替える
もう一つの柱が、甘藷(かんしょ=さつまいも)や馬鈴薯(ばれいしょ=じゃがいも)といった、土の中で育つ作物への切り替えです。地上の葉や実はバッタに食べられても、地中のイモ自体は被害を受けにくい。だから蝗害に対する「保険」として、土中で育つ作物の栽培を広めようとしたのです。秋がえしで卵を減らしつつ、芋類で食糧を確保する——この二段構えが、飢饉を食い止めるための現実的な作戦でした。
西都編の蝗害対策(まとめ)
1. 秋がえし……土を掘り返して飛蝗の卵を掘り起こし死滅させる
2. 芋類への切り替え……甘藷・馬鈴薯など土中で育つ作物で食糧を確保
3. これらを限られた期間で広大な農村地区へ浸透させるという時間との戦い
「変人軍師の身内」たちの底力
羅半兄は、変人軍師・羅漢の養子である羅半(らはん)の兄にあたる人物で、農村育ちの実務能力に長けたキャラクターです。算盤勘定の得意な弟・羅半とは対照的に、土と汗にまみれて現場を動かすタイプ。飛蝗の飛来をいち早く壬氏に知らせるなど、蝗害においてもっとも泥臭く、もっとも実質的に活躍した人物として描かれます。後宮の華やかな謎解きとはまったく異なる「農政パート」で物語の主役級に躍り出るのは、群像劇である本作ならではの妙味と言えるでしょう。羅半その人については羅半の解説記事でも触れています。
玉一族のお家騒動|玉鶯をめぐる悲劇と西都の権力闘争

蝗害という「天災」と並行して進むのが、玉一族の「人災」——すなわちお家騒動です。西都編のもう一つの軸がここにあります。
玉葉后の異母兄・玉鶯(ぎょくおう)という人物
騒動の中心にいるのが、玉袁の長男であり玉葉后の異母兄にあたる玉鶯(ぎょくおう)です。玉鶯は西都の現地で絶大な人気を誇る政治家で、表向きは頼れるヒーロー的存在として振る舞います。原作では、支援要請などの場面で、本来は壬氏側の手柄を自分のものとして取り込むような、抜け目のない一面も描かれます。
しかしその内面には、深い屈折が隠されていました。玉鶯は異国の容姿を強く嫌う人物で、その感情は、異国の血を引く美しい末妹——すなわち玉葉后——への複雑なわだかまりにもつながっていきます。彼の歪んだ劣等感と、西都を私物化しかねない振る舞いが、お家騒動の火種となっていくのです。
| 人物 | 立場・関係 |
|---|---|
| 玉袁(ぎょくえん) | 西都の長。玉一族の当主で、玉葉后の父 |
| 玉葉后(ぎょくようこう) | 皇帝の正室(皇后)。玉袁の娘。西都出身 |
| 玉鶯(ぎょくおう) | 玉袁の長男・玉葉后の異母兄。西都で人気の政治家 |
| 陸孫(りくそん) | 西都編の鍵を握る人物。出自に重大な秘密を抱える |
| 雀(すずめ) | 猫猫の周囲で動く女性。隠された一族の血を引く |
暴走する玉鶯と、彼の最期
蝗害による混乱が深まるなか、玉鶯は隣国への侵攻といった強硬策へと突き進もうとします。原作で語られる展開によれば、その暴走を止めようとした義理の兄弟(玉袁の養子)を、玉鶯は衝動的に手にかけてしまうという悲劇が起こります。
そして玉鶯自身も、その所業の報いを受けることになります。複数の情報源で一致して語られるのは、陸孫(りくそん)が玉鶯を討つという結末です。陸孫は、かつて滅ぼされた戌の一族の生き残り(その血を引く者)であり、十七年前の粛清にまつわる因縁を背負っていました。つまり玉鶯の死は、単なる権力闘争ではなく、「戌の一族の歴史」がめぐりめぐって帰結した復讐劇でもあったのです。陸孫という人物の重さは羅門の解説記事とあわせて読むと、医術・出自をめぐる本作の系譜がより立体的に見えてきます。
※ 玉鶯の最期については、陸孫の行動に加えて雀(すずめ)も関与したと読み取れる描写があり、媒体や読者の解釈によって「誰がとどめを刺したか」のニュアンスには幅があります。本記事では「陸孫が討った」という最も広く共有されている理解を基準にしています。
十七年前に滅ぼされた一族の生き残りが、いまになって……。過去の暗い歴史が、ちゃんと現在の事件に繋がってくるんだね。
『薬屋のひとりごと』って、こういう「伏線の回収」がすごく丁寧なの。戌西州っていう地名の意味を知っていると、陸孫の行動の重さがまったく違って見えてくるんだよ。
西都編で登場・再登場する人物たち|物語を動かすキーパーソン

西都編では、これまでの後宮編とはまた違う顔ぶれが活躍します。代表的なキーパーソンを整理しておきましょう。
陸孫(りくそん)
西都編で一気に存在感を増す人物です。穏やかで人当たりがよい一方、その出自には滅ぼされた戌の一族につながる重大な秘密が隠されています。物語上は、玉鶯を討つという決定的な役割を担い、十七年前の因縁を物語の表舞台へ引きずり出す存在です。
雀(すずめ)
猫猫の周囲で立ち回る、ひょうきんで食いしん坊な女性。しかしその正体は、隠された一族(巳の一族と語られる)の血を引く者とされ、見た目の印象とは裏腹に重要な働きをします。情報収集や潜入に長けた、油断ならない人物です。
羅半兄(ラハンあに)
前述のとおり、蝗害対策の実働を担った立役者。秋がえしや芋類の栽培を各地に広め、飛蝗の飛来をいち早く知らせるなど、地味ながら西都を救った功労者です。農村育ちの実務能力が、災害という非常事態で真価を発揮します。
玉鶯(ぎょくおう)/玉袁(ぎょくえん)
玉一族の当主・玉袁と、その長男・玉鶯。西都という土地の支配構造そのものを体現する親子です。とりわけ玉鶯は、魅力と危うさを併せ持つ悲劇的な人物として、西都編の人間ドラマの中心を担います。
羅漢(らかん)
猫猫の実父である変人軍師。西都編にも関わり、戦略・諜報の面から物語に影を落とします。猫猫との親子関係のもつれも、西都という遠隔地で改めて浮かび上がってきます。
西都編で「再評価」されるキャラたち
西都編は、後宮では脇役だった人物(羅半兄・雀・陸孫など)が一気に主役級の働きをする「群像劇」としての面白さがあります。「この人がここまで物語を動かすのか」という驚きが、西都編の大きな魅力です。
物語上の位置づけ|西都編が『薬屋のひとりごと』にもたらしたもの

西都編は、シリーズ全体のなかでどのような意味を持つのでしょうか。三つの観点から整理します。
1. 「後宮ミステリー」から「国家規模の物語」へ
最大の意義は、物語のスケールを決定的に押し広げたことです。毒見や後宮内の事件を解く小さな物語から、蝗害という災害、飢饉、外交・戦争の危機といった国家規模の問題へ。猫猫の知識と観察眼が、より大きな舞台で試されることになりました。
2. 猫猫と壬氏の関係が大きく前進する
西都という非日常の環境は、二人の距離を縮める舞台にもなります。原作では西都編を通じて猫猫と壬氏の関係がこれまでになく近しいものになっていくと語られており、ミステリーと並走するラブストーリーとしても重要な区切りです。壬氏の人物像については壬氏の完全解説をどうぞ。
3. 「戌の一族」という伏線が回収される
西都編は、戌西州という地名に刻まれた過去の粛清を物語の中心に据え、それを陸孫の行動として回収します。世界の歴史と、いま起きている事件とが一本の糸でつながる——この構造の妙が、本作を単なる謎解き以上の物語にしています。物語全体のネタバレを把握したい方はネタバレまとめもあわせてご覧ください。
アニメ『薬屋のひとりごと』を見るなら

アニメ『薬屋のひとりごと』は第1期・第2期が配信中。これまでの物語を見返すなら、月額550円(税込)・14日間無料体験つきのDMM TVがお得です。猫猫と壬氏の物語を一気見できます。
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アニメではどこまで描かれた?|西都編は「これからの範囲」

「西都編って、アニメでもう観られるの?」という疑問にお答えします。結論から言うと、西都編の本丸である蝗害は、アニメ第2期終了時点ではまだ描かれていません。
アニメ第1期・第2期の到達点
アニメ第1期は原作小説のおおむね序盤を、第2期(2025年1月〜7月放送・全2クール)はその続きを映像化しました。第2期は外廷編、そして「子の一族」をめぐる物語(楼蘭=子翠が関わる事件)までを描き、最終話「はじまり」で一区切りを迎えています。子の一族編の鍵を握る楼蘭については楼蘭(子翠)の解説で詳しく扱っています。
つまり、第2期の段階では猫猫たちはまだ西都での蝗害には直面しておらず、「蝗害」「玉鶯のお家騒動」「陸孫の復讐」といった西都編の主要事件は、いずれもこの先(第3期以降)に描かれる範囲ということになります。
アニメと西都編の関係(整理)
・第1期・第2期:後宮編〜外廷編〜子の一族編まで
・西都編(蝗害・玉一族のお家騒動):第2期終了時点では未到達
・蝗害などの本格的な西都編は第3期以降の見どころになる見込み
第3期決定済み──西都編アニメ化への期待
『薬屋のひとりごと』はアニメ第3期の制作が発表されています。原作で屈指の重厚なシリーズである西都編が、いよいよ映像で描かれることへの期待は非常に高まっています。今回整理した「戌西州の歴史」「蝗害の仕組み」「玉一族の人間関係」を頭に入れておけば、第3期以降の展開を何倍も深く味わえるはずです。各シーズンの配信状況や視聴順は配信ガイドでも確認できます。
※ 第3期の具体的な放送時期・カバー範囲は、本記事執筆時点で公式から詳細が出ていない部分があります。最新情報は公式発表をご確認ください。
よくある質問(FAQ)

Q. 西都編とはどの巻のお話ですか?
原作小説では、おおむね9巻あたりから西都編が本格化し、12巻で西都編が一つの決着を迎える、という流れで語られることが多いです。ただし、原作小説と2種類の漫画版では描写の順序や省略に差があるため、「何巻からが西都編か」は媒体によって感じ方が多少異なります。本記事では原作小説の流れを基準にしています。
Q. 「戌西州」と「西都」は別の場所ですか?
同じ場所です。「戌西州(じゅっせいしゅう)」は、現在「西都」と呼ばれている地域のかつての名前です。もともと「戌の一族」が治めていたことからこの名がつきましたが、その一族が中央からの勅命によって滅ぼされたあと、玉袁が台頭して支配者となり、現在は玉一族が治める「西都」となっています。
Q. 蝗害(こうがい)とは何ですか?
バッタ・イナゴが爆発的に大量発生し、農作物をはじめとする植物を食い尽くしてしまう自然災害のことです。バッタは数が増えすぎると「群生相」という状態に変化して大群をなし、移動しながら作物を壊滅させます。作物を失えば飢饉につながるため、西都編では社会全体を揺るがす大事件として描かれます。
Q. 蝗害にはどう対処したのですか?
大きく二つの対策が描かれます。一つは「秋がえし」と呼ばれる、土を掘り返して地中のバッタの卵を死滅させる作業。もう一つは、甘藷(さつまいも)や馬鈴薯(じゃがいも)など土の中で育つ作物への切り替えです。これらを限られた期間で広い農村地区に浸透させる実働を担ったのが、羅半兄でした。
Q. 玉鶯(ぎょくおう)はどうなりますか?
玉鶯は玉葉后の異母兄で、西都で人気の政治家ですが、内面には異国嫌いの屈折を抱えています。蝗害の混乱のなか強硬策へ突き進み、止めようとした義理の兄弟を手にかけてしまいます。最終的には、滅ぼされた戌の一族につながる陸孫によって討たれる、という悲劇的な結末を迎えます(雀の関与を読み取る解釈もあります)。
Q. 西都編はアニメで観られますか?
2025年に放送された第2期の終了時点では、まだ蝗害などの西都編本編は描かれていません。第2期は子の一族をめぐる物語(楼蘭が関わる事件)までで区切られており、西都編は第3期以降の範囲になる見込みです。第3期の制作は発表されているので、映像化が期待されています。
まとめ|西都編は『薬屋のひとりごと』が「世界」を描き始める転換点

最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 西都編は、玉葉后の故郷・西都(旧名・戌西州)を舞台にした大型シリーズ
- 猫猫・壬氏らが西都へ赴くのは、玉鶯の招きなどを背景とした皇弟・壬氏の西方派遣がきっかけ
- 舞台の戌西州は、かつて戌の一族が治め、讒言と勅命によって族滅された暗い歴史を持つ土地
- 最大の事件は蝗害(イナゴの大量発生)。秋がえしと芋作戦で立ち向かい、羅半兄が大活躍
- 並行して玉一族のお家騒動が起こり、玉鶯は陸孫に討たれる(戌の一族の因縁の回収)
- アニメ第2期では未到達。蝗害などの西都編は第3期以降の見どころ
西都編は、後宮の小さな謎解きから始まった物語が「ひとつの土地、ひとつの一族、ひとつの災害」という大きな世界へ羽ばたいていく転換点なんだよね。戌西州の歴史を知ってから読み返すと、何気ない地名や人物の一言までもが伏線に見えてくるはず。第3期で蝗害が映像化される日を、いまから楽しみに待ちましょう。
西都編の全体像を頭に入れておけば、アニメ第3期以降の一つひとつの場面が、より深く心に響くはずです。まずは第1期・第2期を見返して、猫猫と壬氏がどんな旅路を経て西都へ向かうのか、その足取りをたどってみてください。
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